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闇夜の月
10
「はぁ、…まったく、そこですか…。ですから、7時に起こしたんじゃないですか…」

ユキナは、逆に呆れている。


サリアは、いつも朝食を食べた後公務に入る前に毎日の日課として、している事がある。
一人で一時間の遠乗りとまた、一人ではないが一時間の剣術の訓練だった。
どちらも強制されてやっていることではなく、サリアが好き好んで勝手にやり始めたものだ。

その趣味は、一国の王女としてどうかとサリアの父、カロリア国王は思っているところだが、当のサリアは全然気にもしていない。


──仕方ない、いつもの半分の時間で終了にしよう…。

そう諦めてユキナが持ってきた動きやすい服に着替えて、朝食を食べに行った。


………………

毎日来る草原で馬に乗りながらサリアは考え事をしていた。

というより、さっき朝食を食べながらユキナから聞いていた話を思い出していた。


『あ、そういえば…隣国の王太子ってどこのだれなの?』

今さら相手の名前を聞くんですかと、ユキナが呆れる。

そこ、重要ですよね…?

『サウテ国です』

『サウテこく〜?』

思わず、ポトリとフォークから食べようとしたトマトを落とした。

『サリア様、はしたないことはなさいませんように』

お皿の上に落ちたんだからいいじゃない…って、それどころじゃない!


サウテ国といえば、ここカロリア国と同じぐらいの広さの領土を所持している。
結構な広さの為ここ王宮からサウテ国に入るまでに、どんなに夜寝ないで馬を走らせても確か最低5日はかかる…はず。


『…で?その王太子って誰なの?名前は?』

その言葉を聞いて今度こそユキナが呆れる。

『ええ!?知らないんですか!?隣の国のことですよ?』

『だって、知らないものは知らないもの!』

『…あの、そこはえばれる所じゃございませんから』

すかさず、ユキナが突っ込みをいれる。


10年間ずっと毎日こんな感じだ。


『…で、誰?』



『ディシェル・アラルト殿下です』





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