[通常モード] [URL送信]
14.思い出のキス(銀時×高杉チビ時代)
唇に指先をやる。
少し不安な時の俺の癖。
心を落ち着ける時の一種のおまじない。


「たかすぎっ!たかすぎってば!」

「やっだって!こえーし!」

「ったく、なんだよあんな犬くれぇ怖くないって」

「…だってこの間もうすこしで噛まれそうになった…」

「今日は大丈夫だっつうの。俺もいるし」

「絶対先ににげんだろうが」

「しねぇって。約束する」

「嘘だ」

「本当に!早くしねぇと松陽先生の忘れ物届けらんねぇぞ!先生困んだろうが。お前待っとけよ、俺一人でいってくっから」

「ふぇ…ぎ、ぎんとき、」

「うわあ、な、なくなよ、落ち着けって。もう」


ふにゆん


「なんだ今の」

「とっておきの落ち着くまじない。だれにも秘密だかんな。お前だけだからな」

「おれ、だけ」

「ほら行くぞ」


引かれる力強くてあたたかい手。
唇に触れた柔らかい感触。
今でも思い出す。
たとえそれが人斬りをする前であろうとも。
指を唇から離し、一呼吸。


「いくぞ」


思い出は彼方の光の中。
でもいつもそばにある。

[*前へ][次へ#]

11/16ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!