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7.二回目のキス(土銀)

ジッと見つめられること数十秒。

ソファのテーブル越しに座った男は瞬きさえも我慢をしているのか、その瞳孔開いた目は見開いたまま。

あー、やべ。緊張しすぎだってーの。なんだこれ。

心臓バクバク。
まるで相手の緊張が移ったかのように体中に響いている。
土方が何をしたいかは今までの経験上、何となくでわかる。
多分あれだろう。
この間したアレ。
何となく人混みから隠れるように入った路地で、声が大きいと塞がれた固い皮をもつ手で塞がれて、目が合ったと思ったら手ではなく少し乾いた熱い唇が触れた。
あっ、と思った時にはもう離れていて、俺の熱がまだ覚めやらぬうちにもっとずっと顔を真っ赤にした土方は目の前から逃げるように去っていった。
一言もなく。

そして今日、突然やってきたと思ったらこの状況。

これはあれだよね?
えっとぉ、俺の勘違いじゃなければみんなのあこがれの副長さんてば俺に恋しちゃったのかなあーとかなんとか思っちゃってもいいわけ?とかさ、自分の都合よい風に考えてしまってもいいよな。
なんて思う俺がいるわけで。
先に好きになったのは自分のほうなんてことは、希望叶ったとしても言うわけない。

それにしても、副長さん。
長いって。
 

先に目を逸らしたのは俺。
強い眼差しに堪えられなかった。
というか。


「あー、もう!待ってらんねぇっつうの」


床を蹴り上げるようにして立ち上がり、目を見開いた奴の胸元を引っつかみ。

自分からキスをした。






一回めは無防備なキス


二回目は自分からのキス


さあどうする?


唇を離した端でに見えたのは、やってくれたなとばかりの斜めに吊り上がった口もと。


ドキリ、とまた心臓が跳ねた。



終わり


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