5.背伸びキス(万高パロ)
この間まで学生だったお前が社会人になって
その背中がより逞しくなった気がすると共に
自分から遠くなってしまうのではないんだろうかって急に不安になって
目の前を背中を向けて歩く万斉のシャツの裾を思わず掴んだ
「ん?晋助?」
振り返った万斉はどうした?と優しく微笑んでくれる
でも足りなくて。
その視界を俺だけで埋めたくて。
グイッ
「んむっ」
悔しいことに俺より上にあるその唇に爪先立ちをして首に腕を絡め、自分のをくっつけた
「どどどどーしたでござるかっこんな往来でっ、というかいつもは晋助のほうが嫌がるのにっ」
真っ赤になってズレたサングラスを直す万斉はまだまだかわいさをのこした顔をしていてほっとする
「たまにはいーだろうがよ。今日だけ特別だ」
「え?まさか晋助覚えて」
「たまたまだ、たまたま書類整理してた時に目に留まった。………おめでとう、万斉」
「拙者、その言葉だけでも生まれてきてよかったでござる」
「ばっか。んなもんでいいのかよ。……家、こねーの?一応、いろいろ用意してあんだけど?」
チャリ、と目の前にカギをぶら下げて見せる。
「行く!今すぐ!」
「んじゃ行くぞ」
万斉の手を取りそのまま俺ん家の方向へと引っ張る
まだな、まだもうちょっと大人にならないで欲しい
俺に先に歩かせてくれよ
年上のプライドってやっかいなもんがあっからさ
だから急いで大人にならなくていい
もう少しの間でもいいから
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