4.気紛れのキス(土銀)
なんだか急に
ほんと突然
そのよく動く唇に目が釘付けになった
どうしちまったんだか自分でも分かんねえけど
なんとなくそこから目が離せなかった
気にしはじめると余計に気になる
ああ、もうダメだ
その唇が悪い
「・・・・・・」
「おい、どうした」
「ど、ど、どうしたじゃねえだろオオオオオオ!ななな、なにしやがったてめえ!」
「なにって、接吻?」
「なにそれなんでそこクエスチョンマーク?なに俺どういう理由でそうなったの?その前に俺たちゃ男同士だろうが、やだなあ天下の真選組の副長さんがまさかの男好き?」
「いんや男に興味はねえな」
素直にそう思った
仕事場がどんなに男だらけだろうがそんなことなど考えたことない
つうか気持ち悪ィ
「だったらなんだよいまの!」
でも真っ赤な顔をしてまくし立てているこいつはなんか違う気がする
「おい万事屋」
「んだよ」
やっぱり気になる
「んむぅッッ」
上顎を指でつかみ口付ける
抗議の声をあげようと開いた場所から舌を忍び込ませ、逃げるものを絡め取り吸い上げ、口の中にあった小さな小さな甘いかたまりを自分の口の中へと奪い取る
「はぁ、はっ、だ、からなんなんだよっ」
先ほどより小さな声で口元をぬぐいながら睨みつけてくる万事屋は、開いた胸元が微かに桜色に染まり、綺麗だと思った
「お前が人と喋ってるってんのに甘い匂い撒き散らしてやがるからその飴食べてみたくなっただけだ」
「は?!意味わかんねえし!」
そう
ただの気紛れ
一回目は
二回目は
本気の始まり
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