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3.指を絡めてキス(土銀)


恥ずかしくて 恥ずかしくて 

どうしていいかわからなくて

その優しい手を差し出されてもなかなか手をとることなどなかった

過ぎ去った過去は取り戻せるはずもなく

もっと手を繋いでおけばよかったのに

その手を放さなければよかったのに

後悔は時々俺を侵食する



『松陽先生!』


叫んだ声は届かない

伸ばした手は繋がれることはない

いつもの場面、いつもの苦しさ

でも・・・・・・声が聞こえる

声が

俺は知ってるこの声を



「・・時、銀時、泣くな」



ふと感じた違和感に自分の手を見ると、そこはとてもあったかい光に包まれていた

俺は知ってるこのあったかさ

知ってるこの光の主を




「・・・・・・土方・・・・・・苦しい」


ぺらぺらのうちの布団の中でぎゅうぎゅうと密着している二人の体


「いいから寝とけ」


そう言われて気付いたのはしっかりと指と指を絡めて握られている、俺の手


ああ、やっぱり土方の手だったんだ


「土方がこの手繋いでてくれるなら」

「珍しく素直だな」

「そうだね。 今日はなんとなくね」


繋いだ手を引き寄せられ、土方の唇に引き寄せられる


「離さねえよ」


そのまま、まるで誓いのように真剣な眼差しでうやうやしく手の甲に口付ける

やだなあどうしたの?
なにそんなに真面目な顔して
俺、そんなに心配かけたのかな

いまさら茶化すのもできなくなり、たまには素直になってみることにした


「うん」


指先を絡めたまま胸の中に引き寄せられる


あったかいね、土方
今の俺、寒くないよ
さびしくないよ
そんな気持ちにさせてくれて


「ありがとう」


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あきゅろす。
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