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5デアイ



変なヤツ。
最初の印象。

変わってんな。
次の感想。


そう思いながらも今日もチャイムを鳴らす。

なあ、なんで何もしないんだ。

なんで俺はここにいるんだ。

なんでまた、呼んだんだ。


いくつもある疑問符を頭に巡らせながら、相手の背中を見つめる。




と、デスクに向かったままだったそいつが頭をくるりとこちらに向けた。


「なにやら視線を感じるのだが」


仕事の時だけするらしい細い黒フレームの眼鏡の真ん中を、長い指でクイッと押し上げながら優しく微笑む。


「‥‥‥することねぇだけ」


その仕種にボーッとしてしまったことに内心舌打ちをしながら答えた。
言葉遣いも別に気にしない。
仕事モードの俺なんて最初っから剥がれちまってるし、不思議とコイツの前では素のままでいれる。


やっぱり、変なヤツ。
いや。
俺が変なのか?


どっちにしろ俺はこの男といるときは、他のどの客とも違う時間を過ごしていた。

それも、毎日のように。





出会いはそれでも最悪だったのだ。






「リンゴローン」


何処かの教会の鐘の音のような綺麗な音が室内から鳴り響く。


ガチャリと音がして開いた扉の中には中年なオヤジでもなく、思っていたよりずっと若そうな背の高いサングラスをかけた男。
その均整のとれた体躯の良さにしばし眺めていると向こうから声を掛けてきた。


「何か用でござるか」


おもったよりは高めの、響き渡るような声に押されはしたがその眉間に寄った皴をみて本来の目的を思い出す。


「あ、俺‥‥ガーデンからきたシキといいます。よろしくお願いします」


あらかじめ用意してあった名刺を男ね目の前に差し出す。


「ガーデン?聞いたことのない事務所名でござるな」

「いや、事務所っつうか店の名前なんだけど」

「何の」


ごく真面目に聞き返してくるその態度に違和感を覚えながらも、からかわれるのかと苛立ちを募らせた俺のどこかでチリチリと音が鳴る。


「アンタが男と寝たいっていうから来たんだけど。簡単にいえばデリヘルをもっと先に進める男バージョンて感じ?それにデートクラブ足したみたいな」

「デリヘル?男バージョン?」

「そう」


ジロジロと不審な目で見られる。
確か誰だかの紹介だとか言っていた。もしかしてどういうとこに頼んだのか分かってないのだろうか。


「あの…」

「多分それは部屋違いでござるよ」


バタンと閉まるドア。
音は途切れ、絨毯敷きの廊下は静けさに包まれた。






‥‥‥なんなんだよ、アイツ。






この時、最初っから今日の仕事には乗り気じゃなかった上に相手にこんな態度を取られて、VIPだとかなんとかいう言葉は頭からすっ飛んでいた。




そんな状態から俺達の関係は始まった。


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あきゅろす。
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