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俺は小さくため息をはきながらそう言った。


「‥‥ここでこれ以上出来るわけねぇだろ」


宥めるようにポンポンと頭を軽く撫でながらそう言うアンタの困り顔に、これ以上は止めとくかと引くことにする。


「案外アンタも根性無いんですねィ」

「なんとでも言ってくれ。でもお前、今日やっぱりへんだぞ?頭打った影響か?」


キーンコーン‥‥


俺が話そうとしたその時、タイミングよく予鈴のチャイムが鳴り響いた。


「うぉ、やべぇこっから教室遠いんだよな‥‥あ、まあ大丈夫か。次、銀八の授業だし。あいつ教室来んの遅いしな」


‥‥‥なんでそんな顔してやがるんですかい馬鹿土方。
普通、授業つったら楽しくも何ともないんじゃないんですか。
そんな楽しそうな顔で俺以外の奴のことを話さないで欲しいですねィ。


「じゃあ総悟、授業始まるし俺行くわ。お前はゆっくり安んどけよ」


離れていく土方の制服を掴む。
不思議顔をして振り向くアンタ。


「総悟?」

「土方さん‥‥実はさっき‥‥‥頭打って寝てたら‥‥姉ちゃんの夢見て。出来れば、今日は一人で家に帰りたくねぇんでさァ」


制服の端を握ったまま俯いてそう言えば、フワリと身体が体温に包まれギュッと抱きしめられる。


「わかった。‥‥‥それでお前さっきから変だったのか。授業終わったらすぐ迎えにくるから、あと一限終わるまで待ってろ」

「いつも、すいません」


素直に謝れば、頬に当たる唇。


「気にするな。じゃあ放課後な。それまで大人しく寝てんだぞ」


念押しのようにそう言って、保健室を出て行った。

ほうら、簡単だ。
あの人はこういうのに滅法弱い。
きっと今日も朝まで一緒にいてくれる。
俺が弱いかぎりずっと。

少し安堵し、もう一人のベッドを占領している主に声を掛ける。


「アンタの授業らしいですよ。早く行ったほうがいいんじゃないですかィ」


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