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「たりめぇだろ。万斉が止めたんだからな」
あ、そっか。
でもなんで。
「た、高杉晋助っ何故このようなところにいるのだ‥‥‥おのれ、幕府の狗を庇うとは攘夷志士の風上にもおけぬ行為!!何故加担する!」
敵方の慌てる声。
「あん?有能な部下の勧誘に来てんのに、お前らに目の前でやられそうとあっちゃあ面白いわけないだろうがよ。なあ万斉。‥‥‥でもちょうどいい。てめぇら、鬼兵隊の名を語ってた奴らだな。ウチの名を語るなんざ小賢しい蛆虫どものやることだ‥‥覚悟は出来てんだろうなぁ」
そういった高杉は楽しそうに笑いながら次々と浪士達を斬っていく。
鬼だ‥‥
鬼兵隊とは上手くつけたものだ。戸惑いのカケラもない刃が弧を描いて目の前を乱舞している。
俺はその場に固まり動けなかった。遠くからパトカーの音が聞こえてきてハッと我に帰る。
「晋助、そろそろ‥‥」
「ああ。んじゃまあ山崎とやら。ウチに来たくなったらいつでも万斉に言えばいいさ」
「山崎殿。三年も待っているのだからそろそろ良い返事が貰えるのを楽しみにしてるでござるよ」
「じゃあな」
そう言って裏口の方へと消えていった。
「‥‥‥って俺、何普通に見逃しちゃってんだァァァ!!副長に怒られるぅぅぅ!」
「御用改めである!」
入口から副長の声が聞こえた。
「山崎ィィィ!大丈夫かァ!」
ああ、なんて言い訳しよう。まさか鬼兵隊に勧誘されてたなんて言えないし、なんていおうか。
ああ、頭が痛い。
それにまたきっと河上は姿を現すに決まっている。
その時、俺はどうするんだろう。
ぷるぷると頭を振り、みんなの元へ走り出す。
俺は真選組監察、山崎退。
これからも変わらない、はず。
多分。
でも少し。
刀を振りかざしていた時の二人が格好良いなんて思ったのは胸の奥にしまっておく。
また、会える日まで。
20091203
→あとがき
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