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「なんだぁ?えらくうるさいのが来たじゃねぇか。コイツかよ、お前の言ってた奴ってぇのは」
「そうでござる」
嫌な予感的中。
俺の目の前に現れた河上の連れは、過激派を代表するテロリスト、高杉晋助だった。
「た、た、た‥‥」
予想していたとはいえ、間近にいる本物の高杉の登場に驚きで声が出ない。
「山崎殿、まあ落ち着くでござるよ。晋助、こちらが山崎退殿でござる」
‥‥‥あの、俺ってばなに普通に高杉相手に紹介されたりなんかしちゃってるわけ。
「お前が万斉が三年も口説いてる奴ねぇ。まあ、いいだろ。で?いつから鬼兵隊に入んだ?」
煙管から甘ったるい煙を吐き出しながら高杉が言った。
え?何の話?
「山崎殿、晋助の許しも出たことだしこれでいつでも入隊OKでござるな」
‥‥‥‥‥。
「ちょっと待てェェ!鬼兵隊なんて入るなんて言ってないからね!ってかいつ入るっていったんだよ!!だいたい俺は真選組だっつうのぉぉぉ!!!!!‥‥‥‥‥‥あ」
やっちゃったよ。
潜入捜査中だっていうのにやっちゃいましたよ、コレ。
バタバタ、ドタドタ店の奥の方から音がする。
「あ、あいつです、さっき叫んでたの!」
「貴様かあ!真選組はぁ!一人で来るとは度胸だけは認めてやる。が、ここで死ねぇ、幕府の狗めがぁぁ!!」
やばっ
俺、丸腰だよ!!
逃げようにも相手の数の方が多いって!
どうしろっていうのさ!
振り下ろされる刀にせめてもと腕で頭上を庇い目を閉じる。
ガキィィィンと鳴った音に目を開けると、河上の仕込み刀が敵のそれを途中で受け止めていた。
「俺‥‥斬られて、ない」
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