お帰りはどちらへ
「えーっと、じゃあ八番がパンツを脱いでハンガーにかけてみんなに披露しろ」
なんだか変な指令を出しました。
「クソッ、土方おま、覚えてろよ!!」
「え?!お前?」
どうやら八番は銀時だったようです。
「ねぇ多串くん、まさかここで生脱ぎってわけじゃあないよね。んなことしたら銀さんのバベルの塔がみんなに丸見えになんだけど」
「あ、ああ。どっかで脱いでくれりゃあそれでいい」
銀時はハンガーを持って部屋の外へ出て行きました。
「全く。、土方さんは万事屋には甘ェんですから。俺ァ旦那のストリップが見たかったですがねィ」
「総悟ォォ」
不穏な空気が流れかけたとき、銀時が帰ってきました。
「はいよー。あぁ何かスカスカして気持ちわりー。落ちつかねーわ」
そう言いながら、ハンガーに掛けられたピンクの苺柄のパンツを壁にかけました。
「ハァ、俺じゃなくてよかった‥‥」
「ああ局長のパンツはう○こがついてそうですもんね」
「ついてそうじゃなくて、ついてるんでィ。まだまだ甘ぇな山崎」
「おまえらいい加減にしろよ。真選組の名が落ちる」
土方、ごもっとも。攘夷組はすっかり呆れてます。
さあ、これが最後になりました。
「王様だーれだ」
「あー。また王様引いちまったや」
‥‥‥またもや沖田が王様になりました。
「じゃあ、もう最後らしいんで最後らしく盛り上がるよう二番と七番でディープキスでもしてもらいやしょうか」
中々素晴らしいことを言い出しました。
しかし、皆は不満のようで嫌そうな顔をしています。
「チッ、また俺かよ」
そう呟いたのは高杉です。
内容が内容だけに自然と目がいったのは‥‥
「すまない。拙者三番でござる」
「そ、そうか」
何となく元気の無くした風の高杉に、万斉は手をグッと握り締めました。
「安心しろ、晋助!!誰が相手でもその棒奪ってみせる!晋助の唇は誰にも渡さん!!!あ、坂本殿、少々手を離してくれぬか」
‥‥‥坂本に抱きつかれたまま言ってもイマイチカッコ悪いです。
「おーおー、何だか最後に面倒くせぇことになってきたなあ、オイ」
銀時がだるそうにイカを口に入れながら言ってます。
「ゲームのルールはしっかり守ってもらわないといけないですよねィ、土方さん」
「お前が変な指令出してややこしくしてんだろうが!!俺に振るな!」
「まあ、ルールはルールだからな、諦めてキッスをするんだな、高杉」
「そうそう。コタローのいうとおりじゃ。バンザイ君、ここはちと我慢ぜよ」
「拙者に晋助の唇が目の前で奪われるのを静観しろというのか!!」
非常に興奮気味のようです。
「まあ、ゲームですから。あれ?局長、そういえば高杉の相手って誰なんすかね。俺アンタかと思ってました」
「あれ?山崎、お前でもないのか。じゃあ一体誰‥‥‥‥あ」
ぐるりと頭を見回すと、所在無げにしている高杉の頭と顎を、隣の席から伸びてきた手が掴み、深く口づけをした神威の姿が。
「んんんッッッ!!」
激しい口づけだからなのか、不意にされたからか神威の胸をドンドンと叩いているが効果は無いようで、格好からしても非力な女子高生と見間違うような状態。
「晋助ェェェェエ!!!」
血相を変えた万斉が刀に手を掛けました。
神威の目が薄く開き、万斉と目が合った瞬間、煽るように笑った様な気がします。
バァァァァン!!!
「うおっ」
「オイィィ!!」
「ギャー!」
様々な声が飛び交う中、神威に向けて振り下ろされた万斉の剣が、勢い余ってテーブルをもぶった切り畳に食い込みます。
神威は高杉を離し、ぴょんと後ろのほうに飛び、上手くかわしました。
「あらら。部屋の中がぐちゃぐちゃになっちゃったね」
「よくも晋助の唇を!!」
「だって俺、七番だよ?ゲーム従っただけ。片目のお侍さんごちそうさま、美味しかったよ」
解放されはしたが、まだ何が起こったんだかわからない高杉はハァハァしながらぼーっとしたまんま。
「オイ、もう収集つかねぇぞコレ」
「んじゃま、この辺で解散と行きますか」
土方と銀時の会話に、皆賛成の様子。
*****
土方・銀時・便乗した坂本は二次会に行くことになりました。
「金時ぃ〜次はどこにいくがか?ワシ、カワイコちゃんがいっぱいおるとこがいいぜよ〜」
「行くかボケ。ったく、何でついてくんだよ」
「全くだ」
「アッハッハッ、ワシもしかして邪魔?」
「「邪魔」」
そんなことをいいながらも次の場所へ仲良く向かってます。
神威と万斉は何故か愚痴飲みに行くことになりました。
「お兄さんもなかなか大変そうだね」
「そうなのでござる。仕事は多いし金が掛かる一方だから働くしかないし‥‥晋助の傍にずっといたいのでござるが難しい。今度も春雨の交渉で空にはいかんと‥‥‥」
「大変だねぇ。俺、春雨の幹部の情報とかもってるよ。話聞きがてら飲もうか」
「それもいいでござるな」
(何だかこっちのお侍さんも面白いな)
すっかり神威に気に入られたようです。
桂と山崎は二人でホテルに行くことになっているようです。
「へー、桂さんは一度も行ったことがないんですか?」
「うむ。そのようなところは今まで入ったことがない。山崎くんはよく行くのかな」
「たまに、ですよ。あ、捜査とかで踏み込んだり隣の部屋で様子を伺ったりですけどね。じゃあ今回は社会化見学のつもりで楽しんできましょう!!‥‥絶対騙されそうな人だな、この人」
「ん?何か言ったか?」
「いえ、何でもないですよ。さ、行きましょう」
不思議な二人です。
近藤と高杉はカラオケにいくらしいです。
「カラオケってなんだ」
「ようは部屋の中で歌を好きなだけ歌えるってとこだよ、高杉くんは歌は好きか?」
「歌‥‥‥嫌いじゃない。三味線ならよく弾く」
「そっちのほうがすごいじゃあないか!!じゃあ経験に行ってみるか!」
「ああ」
「いやあ、一度行ってみたかったんだよね。こう、友達と二人きりで気にせず歌いまくるシチュエーション??嬉しいなあ」
「友達だちじゃないけどな」
「いいっていいって!んな細かいことは気にしないさっ!さあ行こう!!」
二人で夜の街に歩きだした途端、後ろから何やら変な音が近づいてきた。
ドドドドドドッ
「主ら、二人で密室などといかがわしいところ、この河上万斉行かせるはずがないであろう!!」
どうやら「二人きりで」に過剰反応したらしいです。
「や、河上くん、密室って‥‥カラオケに行くだけなんだけど」
「密室は密室だ!」
「万斉。俺、でもカラオケとやらに行ってみたい」
「拙者が一緒に行くでござるよ。ラブソングでもなんでも晋助にたっぷり歌ってやるでござる」
そういって高杉のほっぺに軽くちゅうしました。
頬を染めてコクリと頷く高杉はかわいいです。
店を出るときに着替えたセーラー服をちゃっかりと持ち帰ってきた万斉は、片手に紙袋、もう一方の腕を高杉の腰にまわし、夜の雑踏へと消えて行きました。
残されたのは近藤一人。
「あれェェ?俺、カラオケおいてけぼり?なんで二人?三人で行けばいいじゃんかよっ」
涙目になって二人の去っていった方角を眺め、立ち尽くしています。
ポンッと肩を叩かれました。
振り向くと神威がいました。
「なんか、二人でおいてけぼりだね。飲みにでも行く?」
涙がついに流れた嬉しそうな近藤は、神威とともに愚痴りにいくことにしました。
あれ?誰か一人、足りないような。
「おーい旦那ァ、パンツ忘れてますぜィ。‥‥‥ってあれ?誰もいねえ。何だみんなどっかいっちまったか」
沖田が銀時のパンツを握り締めて、今頃居酒屋から出て来ました。
「しょうがねぇな、帰るか。‥‥‥‥これは今日の記念に貰っておきますかねィ」
パンツを懐にしまい、さっさと屯所への道を歩いていきました。
後で銀時のチャックのズボンを下ろした土方が、ノーパンにえらく興奮したとかしないとか。
何でチャックを下ろすことになったのかは皆様のご想像のままに‥‥‥‥‥‥
終
20090829
→あとがき
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