儚く遠く愛おしく。3
一度受け入れてしまえば貪欲なもので。
体を重ねるのにも、抵抗などなく。
いや、むしろもっともっとと求めてしまう自分がいて。
怒りや不安、寂しささえも隅に追いやり、ただ、快楽だけを求めた。
「すげぇな‥‥久しぶりだってのに絡み付いて離さねぇぜ、お前のココ」
「んっ‥‥は、変なコト、いうな‥っ」
下肢だけが重なる汗ばむ体に手を伸ばせば、躊躇いもなく指を絡めて上体を起こされ、引き寄せられる。
「ああぁぁっ」
より深くなる繋がりに声が漏れ出る。
「ククッ‥‥今日はやけに素直じゃねぇか‥‥なあ、小太郎」
欲に濡れた翡翠の目が楽しそうに細まる。
「お‥前‥‥こそ、今日はやけに優しい。‥‥らしくないな」
両腕を首に絡め、間近で体温を感じる。夢ではないとわかるように。
「何言ってやがる。俺ぁ、お前にはいつも優しいだろうがよ」
耳元で話し、そのまま唇は首筋への愛撫へとかわる。
「んあっ‥‥ん‥‥何言ってるっ、お前は、いっつも意地悪ではないかっ」
自然と目に涙が浮かんでくる。
いつも、一人で先にいってしまう。
置いていかれる自分は必死に追いかけた。
「ククッ‥‥虐められんの、好きだろ?」
「そんなわけ、あるかっ」
目から涙がこぼれる。
それをベロリと晋助の舌が掬いとった。
「ほら、やっぱり泣いてやがる‥‥」
「ちがっ、これは‥」
「今日は特別だ。空の星も川を渡れる特別な日だからな」
そういって合わせてきた唇は、熱情を表すかのように強引で荒々しかった。
そして、お互いの精が果てるまで体を求め合い、俺は意識が闇へと堕ちた。
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