甘いくちづけを君に 5
「‥‥‥‥銀‥時?」
銀時だった。今の声!
「そ。せーいかーい」
目を塞いでいたものがハラリと解かれ、すぐ目の前にニヤニヤしている銀時の顔があった。
「ふっ‥‥なん、で、こんなっこと、するんだっ。お、俺、すごくいろいろ考えたではないかっ」
銀時を確かめた途端に余計に涙がでてきてしまう。
「悪かったよ。最初は一人じゃ寂しい何て言うお前に悪戯のつもりだったんだけどよ、つい悪ノリしちまった」
子供をあやすように頭を撫でられても、納得はいかない。
「い、悪戯って‥お前は
っ。い、痛かったしっっ」
「ごめんって。だってさ、小太郎があんまりかわいいからさ。‥‥‥ね、俺以外にさわられるの、そんなに嫌だった?」
「嫌に決まってるだろ!」
そう答えると、銀時はますます顔をニヤニヤし、いや。嬉しそうにしてるほうがこの場合正解なのだろうか。
「みたいだな。小太郎が俺をちゃんと好きみたいで安心した」
なんっか。はずかしくないのだろうかこの男は。
そんな姿を見てると涙も引っ込んでしまう。
「そ、そんなことより、今日は俺の誕生日だぞ。いい加減、縄を解け」
「うーん、なんかさあ、せっかくだからもうちょっと遊ぼうよ」
「いい!遠慮しておく!」
何をされるかわかったものではない。
「もったいないからな」
何が?
「今日は俺、小太郎満足出来るよう、ご奉仕してやっから!誕生日だからその位はしないとな!」
‥‥‥いつも怠そうな目がキラリと光ったのは気のせいだろうか。
いや、気のせいだと思いたい!
誕生日って‥‥なんだっけ。疑うような銀時の張り切りようを、俺は止める術がなかった。
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