「そりゃアンタ。カメラマンだって、一般人のつまんない集合写真撮るよりは、イケメンのアップが撮りたいでしょうよ」 すかさずタカさんが、義光さんの言葉の後を引き継ぐ。 呆然としながら顔を上げると、お気の毒にという顔をした今井と目が合った。 鉢植えの観葉植物の陰から覗いている前原さんからは、これまた人が落ち込むようなか細く陰気な声で、 「大志君。これで僕達より有名人だね」 と、ダメ押しの一発が。 地方紙とはいえ近隣三県にまたがり、購読率八十パーセントを誇る有力新聞紙面に、オレはこんな形で、今日一日晒されていたわけだ。 知らなかったとはいえ、堂々とスーパーへ買い物に行ってしまったぞ。 スーパーで会った人々の反応に、やっと納得がいったオレの手から、パサリと新聞が力無く落ちた。 ――あ、明日から表に出られない。恥ずかしくて道も歩けやしない。休み明けの学校はどうしよう? がっくりとリビングの床に崩れ落ちたオレの頭上で、亮太さんの放った祝いのクラッカーが一つ、 パーン! と、威勢よく鳴り響いた。 2010.05.15 改訂2014.08.20 |