「ああそれで、図書室で」 「うん。でもあれは失敗だったね。僕は学生の頃、地味で目立たないグループに入っていて、君みたいに華やかな人とは話をしたこともなかったんだ。教師としてならいけるんじゃないかと、勇気を出して声をかけてみたものの、足が震えて何を話したらいいのか分からないし、おまけに君を怒らせてしまって」 「俺は別に怒ってなんか」 「うん、そうだね。だから昇降口で普通に接してくれた時は、嬉しかったよ。慣れないことはするものじゃないと、かなり落ち込んでいたからね」 「あれを普通の接し方とは言わないと思う」 教師の肩に顎を乗せたまま、義光は苦笑する。 「傘と本は、お詫びのつもりだったんだ。渡すことができたら、二度と君には近づくまいと決めていた。遠くから見ていられれば、それで充分かなって」 「先生」 義光が、不意に顔を上げた。 「俺今、アンタに口説かれてるよな」 「えっ!? ち、違う! 僕の話の、何をどう聞けばそうなるんだ」 「入学式の日から俺を見てたんだろ、噂話に聞き耳をたてて。実際喋ってみてどうだった? 俺のこと、好きになった?」 「だから、そういうのじゃないんだって! そもそも僕は高校の先生で、君は生徒だろう」 「その生徒を散々振り回しておいて、よく言う」 「あっ……!」 義光は、緩んでいた戒めから逃れようとする教師を再び押さえつけた。 右手で肩を掴み、左腕の肘から先を後ろの壁について上半身を密着させれば、一回り身体の小さな教師に義光を振り払う力は無い。 「遠くから見てるなんて、寂しいこと言うなよ。実物がここにいるじゃん」 義光は教師の耳に唇を当てた。 「んっ」 肉の薄い耳朶をくわえると、教師の口から小さく声が漏れる。 「先生、風呂上がり? シャンプーのいい匂いがする」 身体を強ばらせている教師に囁いて、義光は舌を耳の中に差し込んだ。 穴の形に合わせて舌先を尖らせ、ゆっくりと抜き差しを繰り返す。 「ひゃっ! 小笠原、やめっ……」 「やめてもいいの、センセ? アンタのここ、既に凄いことになってるけど」 義光は手のひらを教師の肩から胸、腹へと滑らせ、臍の前で指先を下に反転させて更にずらし、股間にあてがう。 教師が穿いているスウェットパンツの薄く柔らかな布地を通して、固くなった中心を確かめるように、時計回りにひとなでした。 「あうっ……! んんっ!」 |