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悪い奴ほどよく眠る
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「おらッ!ヒロ掃除機かけろ!」

「あだっ!!」

「それが終われば風呂洗え!」

「なッ!!」

「ぁ゙あ゙!!何か文句あんのかァああ!」

「あ‥‥‥ありません」



くそぉ、何だあの魔王は!
一家の主気取りか!
デカいのは身長だけにしてくれって!

とは、言えないし‥‥
マジ、早く帰って来て母さん!


「あれ?正宗?」


やっとの事、風呂掃除が終わって、居間を見渡せば
踏ん反り返っていると思った正宗がいない


その代わり台所から
トントントンッとリズムよく包丁の音

近付くにつれていい匂いが鼻をくすぐり
グツグツ鍋が音を立てている
俺ん家の台所を使いこなしているのは紛れも無く‥



「正宗」

「おッ、ヒロやっと終わったか?
今、晩御飯作ってるから邪魔すんなよ」

「う、うん」


す、すげぇ‥
手慣れているのが、料理しない俺でも分かる

あっという間に野菜の皮を剥いたと思えば
食べやすい大きさに切っていく

合間を見て調味料を鍋に入れては、その横でフライパンを振るう


普段からやってないと、こうはいかないだろう

正宗の両親は二人とも働いていて、あんまり普段から家にいない
だからとは思うけど

やっぱり凄い!!


「ヒロ、味見してみろ」


目の前に出された小皿
そこには、俺の大好きな肉じゃががホカホカと湯気を立ち上らせていた



「じゃあ、いただきます‥」


正宗に勧められたままに一口食べた俺は

ビックリした!!



「う‥美味いッ!!
正宗、めちゃくちゃ美味いよ!」


自分が1番好きな食べ物だから、より一層その美味しさに感激!


「すげぇ!正宗、すっげー!!」

「そうか‥」


そう言った正宗を見て、ドキンッと心臓が跳ねた


(え‥今?)


一瞬だったけど、確かに見ちゃったかも‥
初めてかもしれない正宗の


マジ照れ顔



(うわッ、なんだよ一体‥)



な、な、なんで俺まで‥‥
照れちゃっているんだよ!


でも‥‥
あんな顔なら見ててもいい‥‥かも



暫くの間、心臓がドキドキと止まらないでいた


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あきゅろす。
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