鴨が葱を背負って来る 2 1 (空耳‥) 頭ではそう思ったのに まさかと思ったのに 反射的に声がした方に、俺は顔を向けていた 息が詰まる 鼓動が速くなる 時がー‥止まる‥ 「か‥‥か、もい‥?」 絞り出す様にその名を呼んでいるのに 今、俺から少し離れた所にいる人物が信じられなかった 「ネギさん?」 「鴨居‥」 もう一度呼ばれて身体が震える 低音でいて、耳をくすぐる様な甘い響きが心を掻き乱す 何度も耳元で囁かれた俺の名前 いつも馬鹿にしたように、煽るように、そして時に優しく俺を呼ぶ鴨居が目の前に すぐ近くにいる 相変わらずムカつく程の整った顔ではあるが、今は目を見開き驚いた表情を見せていた 何で来なくなった? 2週間、何してたんだよ! 俺の事‥‥飽きたんだろ‥ 会って聞こうとしていた事が次々と頭ん中に溢れ出す なのに‥ 「〜〜ッ、テメェェェ!! 死ねやァァアアアアアアアアア!!」 口から出たのはこんな言葉で 俺は鴨居の腹に渾身の廻し蹴りをめり込ませていた [次へ#] [戻る] |