鴨が葱を背負って来る 2 4 あ、そーだ!と急にそう呟いた一樹 風呂場に連れて行こうとしていた歩みを止め、クルッと振り向いたと思ったら 俺を真っ正面から見つめてくる 「俺、根岸さんとキスしてから、ずっと唇の感触消えないんス! そうっス!会ったら濃ゆいのをしよーと思ってて!だからもう一度‥‥」 「ふ、っっっざけんな!誰が男としたいか!この、止め!!」 ヤバイ! 顔が近付いてくる 掴まれた腕はしっかりと捕らえられ、壁に身体を押し付けられてしまっていた この狭い玄関はまさに袋のネズミ 逃げられねェ!マズイ! マズいッ!! 唇が後少しで触れる きつく目を閉じた俺に聞こえたのは 「ネギさんッ!!!」 親しげに俺をそう呼ぶ聞き慣れた声 そして、ブッ壊す勢いのごとく開け放たれたドアの音 ゆっくりと瞼を開き見え光景 そこに立っていたのは 「〜〜ッ、かずきィィ!! やっぱテメェ、ここだったか!」 「痛ッ!あ〜あ〜バレたッス‥‥」 全身雨に濡れまくった姿の鴨居が 険しい顔で、俺から一樹を引っぺり剥がしてくれていた [*前へ][次へ#] [戻る] |