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采は投げられた
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ガキの頃から聴力が異常に良かった

離れた場所からでも、音を捕らえる聴覚は、ボリュームを上げる様に、はっきりと聞こえる

囁き声、足音、人の動作
俺を待ち伏せする輩の計画なんてもんは、気が削がれちまうほどの筒抜けよう

情報が常に聞こえちまう俺には
馬鹿みてぇに人数だけ集めた奴らを

一人でもノす事は簡単だった


その反面
自分の手以外、一切受け付けねぇまで敏感過ぎる耳

触られれば今みてぇに

力が抜けて
有りえねぇ醜態をさらすまで

こんな弱点ぜってぇに知られる訳にはいかねぇ!


だからだ‥
初めて乃木と会った時


こいつから発せられる音が極端に少ねぇ事に、すぐ気付いた


足音を立てねぇ歩き方
無駄のねぇ動き
気配まで消しやがって、あきらかにただ者じゃない


コイツは危険だ
関わっちゃなんねぇ!!


突然後ろにいやがる時、簡単に腕を掴まれた時に何度そう思ったか


だからコイツは、俺に絡んでくる不良グループより、尻をまさぐるセクハラ大王の市より

どんな奴よりも警戒していた


していたのに‥‥


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あきゅろす。
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