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采は投げられた
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人前で泣くなんて事はいつぶりだ?
そもそも泣く事すら数える程度しかねぇテメェ自身だから

もう止め方なんてモノは忘却の彼方



「そうか‥‥辛かったな、神谷」

「〜〜つッ」

「ずっと頑張ってたんだな」


暖かい手の平がクシャと、俺の前髪をかき上げる
そしてその先にあるのは
優しく微笑む男前の面

その目が、俺を見る乃木の目が‥‥


(兄貴と‥同じ、だ)


「〜〜く、」


周りの奴らが俺をどう見てようが、兄貴だけは俺を信じて、守ってくれてた
女嫌いになったあの時も、兄貴は

『サイがそんな事する訳ねーよ!』

大人達が俺を責めていても、庇ってくれた


その兄貴とおんなじ目をしやがって!
クソッたれ!
優しい言葉なんか掛けんな!
抵抗する気が‥‥
起きねぇだろーが‥

乃木の野郎に抱きしめられているのに
暖かくて、落ち着くなんてこんな馬鹿な話し、有り得ねぇ‥


「うるせぇ‥‥俺、俺は‥‥ッ、つ、」

「我慢するな、付き合ってやる」

「何で、テメェなんかに‥‥クソ‥
‥‥ぎ‥乃木‥乃木!」



兄貴を好きになった事に後悔なんてモノはねぇ‥

でも、ずっと溜めてた事を
誰かに言えた安心感
聞いて、それを受け止めて貰えた安堵感


コイツは馬鹿にも軽蔑もしねぇで俺を‥‥
見てくれた


(乃木‥‥)


思わず手が動いていた


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