采は投げられた
2
(すっげー可愛い!
あぁッ!肉球ハンパなく柔らけぇ!)
「神谷‥」
(茶太郎の毛、フワフワ!)
「んーー?」
(やっぱ動物はいいな!)
「ネコ好きか?」
(目細めて眠てぇのか?それとも気持ちイイのか?)
「んーー」
(うわッ!そんな擦り寄って!)
「神谷‥‥」
(茶太郎マジ可愛い!!)
「んーー?」
(腹がこれまた柔らけぇ!)
「好きな奴いるのか?」
(ヤバい、すっげー嬉しい!
俺に懐いたのって‥茶太郎が初めてかも知んねぇ!)
「んーー」
「何!?居るのか!誰だそいつは!」
「は?何!?て、テメェ何だ急に!!
茶太郎が逃げるだろーがテメェェェェ!!」
茶太郎に夢中な俺は、乃木が何かほざいてんなぁ‥とは思っちゃいたが適当に空返事
したが為‥‥
「俺以外の誰だそいつは!」
「あだッ!テメェ痛いんだこのボケ!
あっ、茶太郎‥‥茶太郎が逃げたじゃねーか!
退けやゴラァァァァァ!」
乃木の野郎が俺に突っ掛かって来るとは思いもよらなかった
「ハハハッ、茶太郎は気を利かせてくれたんだな」
そう言って笑う乃木に、何のだよ!とツッコミを入れようとした時‥
ビクビクと体が震えた
「な、に?‥くッ‥‥やめ‥ろ」
「ああ、耳か?」
俺を床に押し倒した乃木の手が、弱点の耳に触れていた
「ぁ、‥クソッ‥」
甘ったるい鼻を抜けた声
出してるてめぇ自身でも
これ、俺か!?
疑っちまう程に‥
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