采は投げられた
6
「テメェ止めろー!」
「痛くしませんから!」
「んな事聞いてねェェェェ!」
げっ、コイツ!
地味にしっかり関節だけ絞めてやがる!
カチャ、カチャと嫌な音が下から聞こえ視線を下げて見れば、俺の上に跨がった市が、ベルトに手をかけ外しかかってやがった
(ヤバい!
何とかしねぇと本当にヤベェ!!)
着実にそして確実に悪い方向へ転がっている
パニック気味の頭でもっても、この最悪な状況は判断出来た
(この野郎ォォォ!)
市がいくら男だとしても、テメェ自身より小せぇナリを
退かせられねぇなんて‥ねェェェ!
ベルトに気を取られている今がチャンス!
反撃を開始しようとまさにその時‥
ガンッ!と鈍い音と共に
「が、あ゙だッ!」
頭に、おもっきしぶん殴られた程の衝撃と痛みが走った
「あ!神谷大丈夫ですか?」
「〜〜〜ッしやがるテメェゴラァァァァ!」
顎を上げて天井を仰いだ俺が見たものは
俺の頭にドアをぶつけてやがるのに何事もねぇ様にシレッとした‥‥
「お前が悪い!横になる場所をもっと考えろ!」
「の、乃木!!
て、テメェェェェェェェ!」
仁王立ちする乃木 銀次
奴その者だった
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