采は投げられた
3
「い、いいから早く入れ!」
「うわッ」
入口で突っ立っている市が居れば、俺もここに居る事バレるのは
時間の問題
市の腕を掴んだ俺は、有無を言わさずコイツを引っ張り込んだ
それと同時にバタンッと扉が閉まり、小柄な市を抱きしめる
「神〜んごッ!うーうー」
「(静かにしやがれ、バカ市!)」
こっちの身にもなりやがれや!
暴れる市を背後から押さえ付け、まだしゃべり出しそうなその口に、手を当て塞ぐ
すると程なくして‥
「神谷ァ!どこ行ったーーー!」
「ッ!!!」
乃木のバカでかい声が響き渡った
こ、恐ェェェ!
気が付くな!さっさと行け!
乃木の阿保んだら!!
久々に緊張感が張り詰める
大勢の奴らが喧嘩を吹っ掛けて来た時でさえ、こんな事はなかった
それはきっと
あいつと本当に反りが合わねぇ!
その事が物語っているとしか言えない
バクバクと痛ェ程打ち付けていた心臓
少しずつ治まり
落ち着いた頃には
耳にあの野郎から発する音は聞こえなくなっていた
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!