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采は投げられた
2
「すまん、大丈夫か?」


乃木のそんな言葉が耳に届く


(今しかねぇ!!)


足に力を込め、より一層加速
そんな後ろから


「こらぁッ!神谷ァァァァ!」


怒号が聞こえるが、知ったこっちゃねェェェ!!

階段を飛び降り、がむしゃらに走り


(視聴覚室!!)


目に付いたその教室に逃げ込んだ


はぁ‥はぁ‥
マジ何だッつーんだ!
ざけんじゃねぇや‥

今日は厄日かよ!
弱点は知られた上に、乃木の馬鹿に
‥‥キ、キスされちまって‥
追っ掛けられるは、何で俺が隠れなきゃなんねーんだ!
クソッ!

ん?‥‥ちッ!


そんな時、息を整えている俺に聞こえたのは
近付いて来る足音


クソッ!誰か来やがった
乃木か?
乃木の野郎に見付かっちまったか?

息を殺し、入って来るな!そう願うが‥‥

その願いむなしくガチャッと扉が開け放たれた



「!!!」

「あれ?神谷、どうしたんですかー?」



そこに居たのは、ニッコリと微笑む市
扉近くでしゃがみ込んでいた俺を上から見下ろすその目と合った瞬間
ドクリッと心臓が跳ねた


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