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鬼に金棒
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「重いぃいッ!!」


なんでこの人無駄にデカイんだ?
確か俺より10歳以上、年上のはず。
なのにこうやって主任を運ぶ為とはいえ、隣で支えると良く解る

俺より背が頭一つデカイ
しかも鍛えてるのか分からないが、筋肉質でガッチリしている

その体格にドスの効いた声
眼つきは悪い
口も悪い

どこから見ても『鬼』そのもの
でも…


「今は、ただの酔っ払い、じゃ、ねーかッ!
荒木ッ、主任!ここ俺ん家ですから、重てッ!」

「しゃ、写真…」

「撮れねーよッ!つーか、早く入って下さい」



やっとこさ千鳥足の主任を押し込むように部屋に入れてグッタリした


(もう、こりごりだ)


でも、それだけじゃ終わらず


「あ゛ーーーッ!ちょっ主任、靴!なに土足で入って、だーーっ床で寝ないで下さいッ!スーツ皺になりますから」

「面倒くさ…別にいー」

「いくねーよ!俺が気になるんだって!」


床で寝転ぶ荒木主任を見てヒィ!と悲鳴を上げそうになった
スーツをばっちり来た状態のうえ、ネクタイしたまんまで大の字の態勢

家まで提供したんだからとそのまんま寝かせておく事も出来るけど
性格上、俺が嫌だ


「ほらっ、主任脱がせるんで手上げて下さいよ」

「久子…?」


(誰だ?)


主任の腕を取ったらば、今までボーとしていた主任の目が大きく見開いた
と、首にスルリと回されたゴツい手


「え?ちょちょちょ」

「久子、帰えって…」


思い出した
確か主任の奥さん
いや、正確には元奥さんの名前が久子…そんな名前だったよーな


と、思考が中断した
グイッと力強く引き寄せられた後は


「荒木しゅ、んっふ、んんっ」


息苦しさが待っていた



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