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知者は惑わず勇者は懼れず
6
「兄ちゃん絶対だからなッ!」


と、何度も念を押されてしまいには指切りまでされて、何かに満足した知影に振り回された夜は


こうして過ぎて行った
そして





「ん?なんだこれ?」

翌朝、テーブルの上にチラシと一緒に置かれたプリントが


「ーーーッ!!な、なんで!?」



俺を奈落の底に落とす



「ハヤちゃん、おはよう」

「か、母さん!こ、これ!?」

「あらあら、置きっぱなしのままだったのね〜。私ったら、ついウッカリさん!」

「いや、そうじゃなくてこれ知影の‥‥」

「そう、カゲちゃんの。どうかした〜?」


この上手いとも言えない癖のある字
自分の名前なのに漢字が危ういのも正真正銘、知影が書いたと決定付けている


「カゲちゃんも頑張っているのよ。でもね〜ハヤちゃん。この間、私先生に呼び出しされちゃったのよ
カゲちゃんは勉強していますか?ですって〜」


数枚のプリントは、ほぼ赤点より下の点数

そればっかりじゃなくって、ほとんどのプリントには途中で飽きた心情が伺えるまでのラクガキ満載
でも、俺がビックリしたのは

ラクガキとかじゃなく
酷い点数でもなくって



「でもね〜、カゲちゃん社会だけは得意みたいだから、先生褒めてくれたのよ〜」


何度見てもマボロシではないらしい


「きゅ‥96点」



大丈夫
大丈夫‥‥‥‥

有り得ない点数が付いているぐらい‥



「母ちゃん、兄ちゃんオッハーッ!
あーーッ、それこないだのテスト!
兄ちゃん、俺すっげーだろ!
えへへ〜、でも次のテスト絶対100点取るからな!!約束だぞ!
あ〜〜腹減ったぁあ!」



大丈夫じゃないかもしれない
兄の威厳を守るべきか
泣いて許しを請うべきか



グッタリと疲労感を漂わせたまま俺は、早めに家を出た


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