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知者は惑わず勇者は懼れず
4
「ち、〜〜〜〜違ッ!!」



唇と唇が触れる瞬間
刹那
それぐらいの短い時間だったと思う
我に返ってガク然とする


ーーうっ、うわッ!!!
ぉおお俺、今何しようとしたッ!?
完全に先輩にきキ、キ‥‥スススしようと‥‥

ちちちち違ッ!
何だ何だ何だよこれッ!
どう考えても変だろこれッ!
いくらカッコイイって言ったって相手は男
それなのにキ、キ、キスしたくなるなんて‥‥

こんなのどう考えたって‥‥
考え、‥‥


あれ?


(‥‥え?え!?嘘だろ?
で、でも俺‥‥そう、なのか?)


考えてみれば思い当たる節が見え隠れする
こうやって一緒にいるのも嫌じゃない
無理矢理入れられた部活であるけど、何だかんだ楽しんでいるのも事実

そして、先輩に触られるのもそんなに嫌じゃない
いや、先輩だから‥なのかも知れないが。

やっぱり、俺‥‥


(お、俺もしかして、ホントに先輩の事ー‥‥)




「藤代?」

「ぅう、はーーーッツは、はい!!!」



突然の呼び掛けに体が思わず跳ねた
心臓が口から飛び出るぐらいの驚き
横を見れば、目を擦る和泉先輩が



「悪いな、寝ていたようだ」

「いいい、ィ、いいえッ!」



まだ眠そうな顔で俺を見る
俺が外したせいだけど、メガネの無い和泉先輩もやっぱり


(カッコイイよな‥‥)



一つ一つが釘づけになる
心臓が痛いのも頷けた

いつの間にか和泉先輩は、こんなにも大きく俺の中で占めていたんなんて‥‥




「あぁ、もう遅いな
実験はまた今度改めてする事にしよう」

「ッ!!!
ぃいッ、いえ!!先輩十分です!」



これ以上、暗黒界は覗きたくないッ!
その意味と、くしくも先輩の望んだ通りに

相手に対して好意を持つか?


その意味で、この実験は成功したんではないだろうか?



はっきりと見えたこの想いに
一歩、そして一歩と俺は歩み始めたのを

心臓の高鳴りが教えてくれていた


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