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知者は惑わず勇者は懼れず
3
「先輩、あ、ありがとうございます」

「何がだ?」


自然とその言葉が出る先輩に、ジンワリまた目頭が熱くなり視界がボヤけてしまう



「いえ、俺がただお礼が言いたかっただけです」



体の奥からホッコリ暖まっていく
嬉しくて
嬉しくて


不思議そうに俺を見る先輩に、泣き顔だけど笑い掛けた






「『恐い』ので思い出した
そうだ藤代、お前は恐いのは得意か?」

「恐いの‥‥ですか?
いえ、どちらかと言うと俺ダメなんですよ。血なんか苦手で、あと霊的なのとかちょっと」

「なら、うってつけだな」

「は?」

「人は危険、恐怖を感じるとそれを回避する為に、脳は別の信号に置き換えようとする
幸福しかり楽観視するのがそうだな」


突然何だ?
それよりも全然、話しが見えて来ないんですが‥‥?



「で‥‥それが何なんですか?」

「例えば、それが一人では無く二人でいる場合‥‥
脳はどんな信号に置き換えると思う?」



何の事だ?
いつになく何を伝えたいのか全くもって分からない
先輩のゴールはどこに向かっているのか聞こうとした時



「好意だ」

「好意‥‥‥ですか?」



俺が話し掛けるよりも一歩速く、答えが返って来た



「と、前置きはここまでだ
恐怖を死ぬ程体験すると一緒にいる相手に対して、どこまで気を許すんだろうな?」


だから、何なんですか一体?
そう感じていれば


ザッと見、30本?
それぐらいのホラー&心霊現象バリバリDVDを
ダンッと机に出して来た


ゾッと寒気立つ


さっきの幸せいっぱいから打って変わって、ザワザワと落ち着かない

まさか‥‥
そんなまさかこのDVDを!?



「試すぞ、藤代」

「い、嫌ァアアァアああッ!!」




逃げようと行動を移した俺の体に、どこからともなく出現したであろう紐が

行く手を阻み


イスに体を縛り付けられ
この後、絶叫タイムになる事、必死


もう腹を括るしかなかった


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