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知者は惑わず勇者は懼れず
5
「クン、ンッ」

「藤代‥‥俺に甘えているのか?」

「ふふ、ふ、藤代、お前どうしたんだ!?
お、おいッ!!ちょッ‥‥おま、なにしてっか分かってッ
勇に嘗めってッ、うわっ‥ぇエロッ!!」



遠くの方から何かしゃべっている声
でも、また鈍くなった思考にそれはどうでもよくなっていく


(甘い)


和泉先輩の首筋を這わせると、舌に残る濃厚なまでの美味だけが

俺を夢中にさせて
髪を撫でる気持ち良さに体をまかせ



その甘さを何度も堪能した




「藤代、もう『実験』を止めろ
武士の馬鹿が朱くする所が無い程、血を沸騰させてる」

「?‥‥‥え、あれ?おぉ、お、俺ッ?」



スーッと晴れ渡る頭の中
それと同時に


(今、何してた?)


とてもよろしくない事をしていた様な気が満載で気が気じゃない

和泉先輩の、はだけたシャツから覗く首筋に赤い歯型が付いているとか

それを付けたのが誰かなんてー‥


ガタッ、ガタガタッ


と、突然
思考を妨げる派手な音が耳に届いた
音がした方を向けば


「辻先輩‥‥?」


口に手を宛て、息を荒くした辻先輩が
振り子ばりの左右確認行動?



「ぉお俺、は‥‥何も見てねぇッ!!
お前、が‥‥勇に‥嘗め、嘗めまくって‥
ふ、ふ、不純性交遊なんか見てねぇエエエッ!!」


ふ、不純?


初めて聞いた言葉を俺に浴びせた辻先輩は、物凄い勢いで

部屋から飛び出して行きました



「興味深かった」

「うわッ!和泉先輩?」

「催眠術だ。掛かっている最中よりも解いた後が興味深い。
藤代、お前の術後の行動は本能か?」



いつの間にか俺の横に、手にはノートを持ち記録を取っている和泉先輩



「あんた、なに馬鹿言ってるんですか?
誰が〜‥‥」


また変な事を言って‥そう思っていた脳みそがピタッと止まる



『いずみ‥先輩ッ』


あれ?


『気持ち、い‥ッ』


確かにそう口にした感覚が唇に残っている
そしてそんな言葉を吐き出したのは、いつとか‥‥


「う、嘘‥だ」


俺自身、分からない馬鹿でも無い

術が解かれたのにかかわらず、した行動は本能?


それって‥‥
それって!!?


「う、うわァアぁアアッ!!!」



叫ばずにはいられないこの想い
俺の中で少しずつ何かが変って来た感じが


拭い取れなかった


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