知者は惑わず勇者は懼れず 5 「おいメイ、いい加減藤代を離せッ」 「ちょっ、ユウ?なに怒って? ッ、んなに睨むなって! いやいや俺、不可抗力だから!これ、見てる? ‥‥ッだから恐ぇよお前ッ! 分かったから!分かったから! ‥だったらさぁ‥‥剥がしてくんない?」 やけに焦った声 そんな声を耳にした直後、志摩先輩の言葉の通りにベリッと剥がされてしまった 「せ、先輩?」 志摩先輩から離されて、目に飛び込んで来たのは メガネ越しの鋭い眼光 最悪な事が頭に過ぎる あのマンガの様にTシャツにカエルを貼っつけられるとか はたまた、体にカエルを縛り付けるとか 「和泉先輩‥‥俺、ッ」 両手を掴まれた瞬間、訳も無く涙が出て来た そんな事が我が身に起こるかもしれないと思うと、ボロボロと涙が止まらない 本当に嫌な事を突き付けられた人間の涙腺は、馬鹿になる ボロ泣き状態の俺が良い例だ 「や、‥うぅっ、無理‥」 「藤代」 先輩から距離をとろうとしたら グイッと、手を引かれた (うわッ!) なんで? なんだか分からないけど、どうしてこんな事になってるか訳分からないんだけど‥‥ 先輩の胸の中に俺、居ちゃってます [*前へ][次へ#] [戻る] |