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知者は惑わず勇者は懼れず
3
「き、着替えます‥‥」



はぁ〜〜、と重いため息と脳内一人ツッコミに終止符を打って
そそくさと渡されたTシャツを頭から被った

なんのヘンテツも無い白いTシャツ



「で、和泉先輩?着替えましたが、これから何するんですか?」

「あぁ、藤代。ここにおもいっきり倒れろ」


そう言う先輩の指差した所を見て、



「い、嫌です!!!」


血の気が引いた


「俺の計算でいけば、一気にかけた圧力に対してそのTシャツの中に収まる」

「む、む、無理です!!
絶対、何がなんでも、出来ませんッ!!
あ、圧力かけるってゆーか、ただ単に押し潰すだけでしょうがッ!!」



床の一点から目が離せない

ヌルヌルとした光沢感
グロテスクなフォルム
耳障りな鳴き声

どれを取っても好かれる要素が見当たらない!



「ひッ!!」



小さいのもいるのに、なんでこんなにデカいんだコイツはッ!!
き、気持ち悪い‥‥



「よし藤代、今だ行け」

「ヤだ、い、嫌だ!う、うわぁああああんッ!!」

「うわっ、激マブくん?」



ゲコッと鳴いたカエルがいかにも今飛び掛かってきそうで

そんなカエルを押し潰して先輩が何を求めてるか丸分かりで

だからと言って出来る訳もなく


「し、し、志摩先輩ィィイッ!
助けて下さいッ!」



俺達のやり取りを色メガネをかけて傍観している志摩先輩に泣き付くしかなかった


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