[携帯モード] [URL送信]

知者は惑わず勇者は懼れず
4
そして、追い詰められた人がさらに墓穴を掘るのも本当らしい‥‥



「ふふ、ふ、藤代ッ!それ、本気で言ってやがるのか?」

「ぃ、いや‥は、はいぃいッ!!」



辻先輩の迫力ある目でガン見されたら誰だって『いいえ』とは言えない


「〜〜〜ッ!分かった‥‥ならッ」


ガシッと両肩を掴まれて引き寄せられた
真剣な眼差しの先輩がとても近い


「か、勘違いすんなよッ!俺は野郎が好きとかじゃねぇッ!
テメェだから‥‥お前を見てると、抑えが‥‥利かねぇ」

「辻、先輩?」

「ッ‥‥藤代‥」



頭から湯気が出るんじゃないかってぐらいに顔が真っ赤な先輩
肩に置かれていた右手が首、そして耳へとなぞり


「えっ!?」


顎に添えられる


何だこれ?
この体勢‥‥もしかして、いやもしかしなくても


(チューされそうな‥‥)


だんだんと辻先輩の顔が近付いて来る
先輩の冗談‥‥だよな?
そう思っていた

でも


「ッ!!!?」


腰に回された、もう片方の辻先輩の手の感触に体が震える
より一層体が密着して
逃げる事も不可能


(ぅう嘘だろ、これーーッ!!)


この状況に頭はついていけない
けれども、先輩との鼻が擦れ合って、思わずギュッと硬く目をつぶっていた


暗い視界の中、俺の耳に聞こえて来たのは辻先輩の声


‥‥ではなくて


「藤代を離せ」



いつもと同じ淡々とした喋り方の
和泉先輩の声だった


[*前へ][次へ#]

4/8ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!