知者は惑わず勇者は懼れず
4
「で、和泉先輩?本当に外せないんですか、これ?」
未だにジャラッと鎖の音を鳴り響かせる手錠
この問い掛けを一体何回、先輩に言っただろうか?
夕飯を食べながら
テレビを見てる合間に
本を読む和泉先輩を邪魔するかの様に
何度もしているこの質問
でも俺に返って来る言葉は‥‥
「まったく。それはこっちのセリフだ
手錠も外せないとは、藤代お前の力はこんなものか?」
自己チュー的発言は、今はもう腹も立たなくなった
少し長めのチェーンのお陰で、思いの外行動は取れやすい
やすい事はやすいが‥‥
隣に座る和泉先輩はかれこれ2時間ほど前から動かない
(集中しすぎですよッ!)
何がそんなに面白いのか?
広辞苑をこんなに夢中になって読んでいる人を初めて見た
そんな先輩を邪魔する事が誰に出来ようか‥
「ふぁー‥」
夕飯後の満腹感
マッタリとした夜の時間
襲い掛かって来た睡魔にウトウトと眠りに誘われ
ついに意識を手放した
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