知者は惑わず勇者は懼れず
3
「藤代の弟か‥‥
おい弟、さっきの発言はいただけないな」
知影と握手をする先輩が突然、そんな事を口にした
「「え?」」
何を一体‥‥
先輩の発言に俺だけじゃなくって知影も、大きい目をさらに見開いてる
「俺と藤代は、友達ではない」
(‥と‥‥友達、じゃない?)
「なぁ、兄ちゃん。違うの?」
「‥‥‥え?あ‥‥」
知影にあらためて聞かれて
ズキンッ‥ー
と、心臓が痛くなる
顔色変えずに和泉先輩が淡々とそう伝えてるから、先輩にとって俺は‥‥
(馬鹿だ!少し親しくなっただけで俺浮かれてた)
嫌な事されても、部室に顔を出す習慣がついたのは
俺と普通に接してくれる和泉先輩が居たから‥
俺だけがそう思ってたんだ
実際、辻先輩みたく『友達になってやる』なんて言われてなかったし‥
思いの外、大ダメージを受けヘコむ俺に
「友達ではないがな‥」
先輩がまだ言葉を紡ぐ
(ん?なんか嫌な気がする‥)
「藤代は俺の被験者だ。
だから、この本の様に裸にしようが善がせようがー‥」
「!!!!
ぁああ、あんた何言ってんだーーっ!
いいから部屋行きましょうッ!」
ポカーンとした知影の前から急いで怪しいマンガを奪い
その本を翳していた先輩を俺の部屋に押し込めるまで
俺は生きた心地がしなかった
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