知者は惑わず勇者は懼れず
2
「なんだ、メイ来ていたのか?」
「おう!ユウ、これいいだろ?」
後から現れた和泉先輩に、俺の手錠に繋がれた状態を見せて
めちゃくちゃ良い顔を見せる先輩
「手錠か?‥ああ、そうだ」
ジーッと手錠を見ていた和泉先輩が、忘れていたと言わんばかりの表情を見せた
そして
「藤代、外してみろ」
案の定と言うか、分かりきっていたと言うか
またまた突拍子もない事を口にする
「は?え、えーッと‥
じゃあ、カギ貸して下さい」
「カギに頼るな、馬鹿者」
「へ?」
「赤いジャケットを着た目立つ怪盗は何度も手錠を外して、とっつぁんから逃げー‥」
「みなまで言わないで下さいッ!」
なんて事言うんだ!!
まさかあの怪盗と俺が一緒の芸当が出来ると思うなんて
(本気で考えてるんのかー!?)
カシャンッ‥
と、その時小さく聞こえた金属音
思考から浮上した俺の目に留まったのは
「ちょっ!ちょーーっ!?
せ、せ、先輩ッ?」
「自ら体験する事も重要だからな」
ガッツリ嵌まった手錠
和泉先輩の左手首にそれはあり
そのチェーンを辿ると‥
「なにやってるんですかーッ!?」
どう見方を変えても、俺の手首に繋がっていた
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