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知者は惑わず勇者は懼れず
5
「藤代、お前ダチが欲しいんだよな?」



グスグスと鼻を鳴らし、グチャグチャの顔の俺に、鋭い綺麗な目で辻先輩が見つめてくる


友達‥‥
みんなとただ何気ない会話で盛り上がって
帰りにゲーセン寄ったりしたかった



「は、い‥」


そんな俺に、頭をガシガシかきならがら咳ばらいをした先輩が‥



「あ〜〜ならよ‥‥
お、俺がなってやる」



顔を真っ赤にさせてボソッと呟いた



「‥‥‥え?」

「だから、俺がダチになってやるってんだ!悪ィかッ!?」



いやいやいや!
悪い悪くないとかじゃなくて、まさかそんな言葉が貰えるとは思わなかった


やっぱり‥‥
さっきから感じてたけど


(辻先輩、優しい‥‥)



男が号泣だぞ!
タラタラ情けない事言ってはまたメソメソ‥‥

自分の事なのにうっとーしいと思う


それでも、辻先輩は俺の言葉に耳を向けて
相槌を打って‥‥

そう思えば思うと


「先輩‥ありがとう、ございます、ッ」



また、ボロボロと涙が出てくる



「チッ!礼言うなら、笑って言え!」

「うぅ‥ありが‥」

「〜〜〜ッ!!!お、お前ッ!
‥だからそのギャップ、ヤベェってッ!」


泣きながら、それでも頑張って笑った
そのお礼の言葉は最後まで言う前に
突然、強い力で頭を引き寄せられる

引っ張られる様に体が傾き


「つ、辻‥先輩?」


俺は先輩の胸の中にいた


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あきゅろす。
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