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知者は惑わず勇者は懼れず
2
「暗いと顔が見えないな」


そう呟いたゴーグルマンは、おもむろに窓を覆っていた暗幕を外し始めた
暗かった原因は分かったけど


(あんたはそのゴーグルだって!!)



すかさず心の中でツッコミした俺に眩しいくらいの日差しが照り付ける


一気に明るさを取り戻した教室に目が慣れた頃、この部屋の悲惨さに今度は目眩が襲った


棚にはビーカーに標本が並び、なぜか民族の置物が一緒に陳列された気持ち悪い部屋


そして、なにより


(この人が1番‥得体が知れないッ!)



身長は俺より若干低い
ヒョロヒョロに見えないから、それなりに鍛えてるような感じもする
ただ‥グシャグシャの白衣を着てる
ゴーグルマンだけど‥‥



「藤代と言ったな
俺は2年の和泉 勇(イズミ ユウ)だ
そしてここは、我が化学実験研究部
今は俺一人しかいないから、お前は初の部員という事になるな」



え???


‥‥‥‥‥‥えッ!?

つーか、なにィイイイ!!
部員がいないですとッ!
まぁ、それはそうですよ!
銃で脅すような部に誰が入るんですか!
いやいや、それよりも‥‥

部員がいないんなら、部ではなく同好会でしょーにッ!



「ところで藤代、お前体格いいな」


「へ?あ、はい‥」


ちょっ、突然も突然
何言ってるんだ?
ゴーグルで目線が分からないけど

なんか‥‥下から上へと、なめ回すように見られてるような‥‥



「身長は?」

「え?ひ、185センチです」

「アレルギーはあるか?」

「いえ、ありません」

「忍耐強いほうか?」

「ど、どちらかと言えば‥‥」



そう言った後、ジーッと俺を見きた和泉先輩‥‥


うぅ、見てます
ゴーグルごしで、まだガン見してるんですが‥‥
なんか恐‥

「良い‥‥良い体だ」

「ッ!!!」



ヒィィイイイ恐い恐いッ!!
セリフも恐いし、一人で頷いてるし、ヤバい気がしまくりだよ!



そんな無意味に体に震えが走った俺に、和泉先輩は‥‥



「良い被験者だ」



サラリと恐い事を言ってくれた


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