知者は惑わず勇者は懼れず 8 「ッ!!?」 「悪いな、武士(タケシ)。コイツは俺の被験者だ 藤代を離せ」 「勇!?」 ガバッと俺の上から跳び起きた不良さん 俺の視界に入ってきた人物は やっぱり和泉先輩だった 「な、なんでお前がッ!うぅうるせェエエッ! いぃい言われなくても、だ、誰がコイツをどうこうする‥とか〜〜ッ‥‥‥チッ!」 俺と先輩を交互に見合わす不良さんが 顔を真っ赤にさせて屋上から居なくなったのは、それからすぐの事 そして残された俺はというと‥‥ 「藤代、勝手に居なくなるな 実験過程と結果が取れなくなる」 「い、ずみ先輩‥‥ッア」 まだ熱が引かない体を持て余して、悶える始末 「い、和泉‥先輩ッ、俺‥」 「ん?藤代こっちを向け。朱い顔、脈も速い、息が荒いな‥ ほ〜、どうも俺は惚れ薬ではなく、媚薬を作ったのか‥」 (そ、そんなのどうだっていいからッ!) 「先輩ッ、体が熱い‥‥ンッ、です‥ッなんか変で‥」 俺を助けてくれるのは、もう和泉先輩しかいない そう思ったら、俺のする行動は一つ 「‥‥どうやら薬の量が多かったのと、即効性ではなかったみたいだな。 ‥‥それで、藤代?お前‥焦りすぎだ」 (焦りたくもなりますよッ!) 我慢の限界 先輩の首に腕を回して、俺は力いっぱい抱き着いていた [*前へ][次へ#] [戻る] |