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知者は惑わず勇者は懼れず
4
「はっ、はぁ‥‥」


つ、疲れた‥‥
走りに走って息が切れる
汗がジットリと滲んできた
それだけ走った俺は、自分でも気が付かないうちに屋上まで来てしまっていたらしい



「あー‥いい風」


見晴らしの良い景色に爽やかな風と
さっきまでの薄暗い部屋が非現実的に思えてくる
でも、首元を触れば‥‥



(ネクタイ‥‥また忘れたし)


あれは現実で、取りに戻らないといけない
その事実が突き付けられる


い、今は考えないでおこう!



程よい運動をした暑くなった体に、涼しい風が気持ちいい
この瞬間、この空間だけでも現実から目を背けてしまおうじゃないか!



(あ、れ‥‥?)


何だろう?
もう走るのを止めて、しばらく経っているのに中々、動悸が治まらない
それよりも、どんどん心拍数が速くなっている気が‥‥



「う、ぁ‥‥何だ?熱、い‥‥?」



気だけじゃないッ!!


体の中からグツグツと煮えたぎる熱
今着ている制服も、もどかしいぐらいに体を掻きむしってでも出したい何か


「あ‥熱ッ‥‥く、んッ‥‥
な、何だよ、これ‥」



突然襲い掛かった異変
頭がグルグル回り、足に力が入らず体がふらつき始める

一歩足が前に出ると、さらにもう一歩
そうなると自分で止められない
と、また足が前に出た時



「痛だ!」



ガツンッと何かモノが当たった
その衝撃で、体も床に倒れ込む


「あれ?‥‥ん?」


おもいっきり床に倒れた割りに、どこも痛くない
それに柔らかい‥


床が柔らかい‥‥?




「い‥痛っってーーなっ!!」



と、床がしゃべった



いやいやいやいやッ!!
床じゃなくて、これッ!


人でしたぁーーーッ!


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あきゅろす。
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