知者は惑わず勇者は懼れず
2
「和泉先輩?」
「藤代‥‥何か感じないか?
こう俺を見て脈拍が上がるとか、体が暑いとかは?」
「いえ、全然‥‥」
「効いていない?おかしい‥‥何故だ?
分量が違ったのか?」
って、分量ッ!?
「あんた、一体何飲ませたんだぁーー!」
「変な物は飲ませてない。
この参考書を見て作った‥‥惚れ薬だ」
「ってそれ、ま‥‥マンガーーッ!
な、な、なに俺で人体実験してるんですか!」
「お前の体格の良さなら大丈夫。
それに、化学は常に失敗は付き物だ」
いくら俺がデカいからと言って
失敗する事前提に、怪しい物を飲ませるなんてやっぱりこの人‥‥
(ば‥‥馬鹿ですッ!)
「ふむ。俺の計算では藤代、お前が飲んだ後
最初、目に映った人物に惚れる事になるはずだった」
「な、なんですと!」
「惚れた相手に対して従順になる薬を作ったはずが‥‥なぜ何にも起きない?」
ちょ、ちょ、ちょっとこの人何言ってんだ!?
真剣な顔で、なに怖い事を‥‥
だって、そうだろ?
ここに今俺と先輩しかいない訳で、もしこの惚れ薬が効いてたなら‥‥
「い、和泉先輩?まさかのまさか‥‥
俺が惚れる相手って‥」
「俺だ」
(ドンピシャかよッ!!)
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