[携帯モード] [URL送信]

知者は惑わず勇者は懼れず
1
「遅いぞ、藤代」


また来てしまった‥
いや、正確には来ないといけない羽目になってしまった


昨日
プランDだ!データだ!と言って俺を襲って来た先輩からなんとか逃げたはいいが

外された学校指定のネクタイを置き忘れるという失態



(俺の馬鹿!)



どうしようか迷った揚句
結局、放課後仕方なしに準備室の扉を叩いた



「すいません‥‥
ん?
和泉先輩、この香りって‥‥?」



部屋に入った途端、芳しい香りが鼻孔をくすぐる
和泉先輩に近づくと、さらに香りが強くなった



「ああ、コーヒーだ。今入れていてな。飲むか?」

「いいんですか?ありがとうござ‥‥」



そして、手を出した俺は


固まった



「ビーカー?です‥かね、これ?」

「フラスコは飲みにくいだろ?」




まぁ‥‥そうですけど
そういう問題でもないんですけど‥‥



「飲まないのか?冷めるぞ?」

「は、はぁ‥‥」



つーか、あんた‥‥これ洗った?



真っ先にこの質問が頭に浮かんだのは
至極当然の事だと思います


「い‥いただきます」



ビーカーの出所は怖いけど、先輩を信じて口をつける

一口飲んで、その美味しいさに
ビーカーうんぬんは頭からすぐさま消えた


渋さはあるのに、濃くなくて苦くもない
そして何より、香りがとてつもなくいい



「美味しいですね!これ、豆挽いているんですか?
学校でコーヒー飲めるなんて思っていなー‥‥和泉先輩?」



飲みやすいコーヒーについ夢中になっていた俺は
目の前にいる人物が



「20秒経過‥‥今だ変化なし」


時計を計り、俺を見ているとは露にも思わなかった


[次へ#]

1/11ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!