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知者は惑わず勇者は懼れず
6
あとから俺が耳にした噂では‥


藤代 知早は2階から飛び降りても、平然としていた化け物だ


とか‥‥


ガンつけるように睨みを利かせ見上げていたその風貌は鬼に見えた


とか‥‥


いや、睨んでたんじゃなくてあれは笑ってただろ?
返り血を浴びたヤクザが冷笑しているしか見えなかった


とか‥‥


さらにみんなとの距離が離れました


違う違う違うんだ!!

飛び降りた直後なんか足が痺れて動けなかったし
上見上げてたのは、あの不良さんが追ってくると思って!
それに笑ったのは

あまりの恐さが顔の表情を破壊したと言っても過言ではない



(噂がどんどん大きくなってる)



廊下を歩くたび、前以上に人が左右に分かれる
モーセが起こした紅海みたいに‥‥


本当は教室で静かに座ってたかったけど、和泉先輩に返さないといけない物があるから仕方ないんです
そして‥‥




「飛んだな」


案の定
竹トンボを渡す俺に、嬉しそうに話しかけきた和泉先輩



「い、いえ、あれは落下ですから!」

「道具を使えば未来を切り開く!
この本はその事を立証している素晴らしい参考書だ」


聞く耳持たない和泉先輩はそう言って
ネコ型ロボットのマンガを熱心に読み始めた

でも‥‥


(これで開放される‥)


金輪際この人と関わらないようにと、すぐ部室から出ようとした俺に



「藤代、次はこれだ」



後ろから聞きたくない言葉が投げ掛けられました


(嘘、でしょう‥‥)


「これは興味深いぞ」



綺麗に笑うその表情からは想像出来ないほど和泉先輩が掲げた本は


なかなかの代物でした


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あきゅろす。
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