知者は惑わず勇者は懼れず 1 「さぁ、藤代飛べ」 「いや、無理ですよ!!」 「貴様の体格なら出来るだろうに! 武術を志す者は出来る!」 いやいやいや! 武術もなにも、俺運動苦手ですし それに、中国四千年の歴史で持っても無理ですから! 「内なる気をコントロールして集中せよ!」 だから、どうあがいても無理ですって! 俺が昨日隠れみのした準備室で、ぶっ飛んだ先輩に捕まり 揚句の果て入部する事になった化学実験研究部 もう一度、きちんと断ろうと今日訪れて直ぐさま 命令されました 『飛べ』と‥ 簡潔であって明快 でも絶対に何があろうとも成し遂げる事が出来ない命令 「和泉先輩、無理ですって」 「己で限界を作るな馬鹿者!」 無理難題をぶっちゃけるあなたの方が馬鹿者でしょーにッ! 謎だ謎すぎるよこの人は‥ 頭いいんだか悪いんだか分からない それに、化学部って言っておきながら 実験はやらないし、読んでいるのってマンガだし‥‥ 「やはり、道具を使わないと駄目か」 念の為、用意しておいたのが役に立つ と、そう呟いた和泉先輩 ガサゴソッと引き出しの中を漁り 軽快な音楽と共に 「ターケートーンーボ〜〜!!」 どっかで聞いたフレーズに乗せて 俺に手渡してきました [次へ#] [戻る] |