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知者は惑わず勇者は懼れず
3
(自分を信じる‥?)


そっか‥‥
俺グダグダ悩んで、いらない事に惑わされて

正直な気持ちに向き合ってなかった
そうだよな‥‥そうだよ!



「辻先輩ありがとうございます!
俺‥‥なんかフッ切れました」

「ああ」



やっぱり辻先輩に聞いて貰って良かった!
スッキリしたし‥‥あっ!



「そうだ!先輩、これいりませんか?俺、もう読んだんで」

「何だ、その本?」



辻先輩に読み終わった本を差し出すと、訝しながらも受け取ってくれた

最初は流し読みの様にパラパラめくっていたが、ある箇所でその手が止まると読み始めた先輩


と、しばらくして眉間にシワを作っていた顔が、だんだん朱く染まっていって
ブツブツと小さい声を呟き始めた


(どうしたんだろう‥‥?)



「先輩?」

「〜〜〜〜ッ!!!」

「どうかしましたか?」



俺と目が合うと、さらに首まで真っ赤にし‥‥
そして



「ここ、こ、こ、恋‥‥」

「鯉?」



すごく動揺している感じが見てとれる


「あ、恋診断ですか?」

「‥ぐ、グァアアアアアッ!
違ッ、違えッ、俺は‥‥野郎なんかに‥」

「へ?辻先輩、大丈夫ですか?熱あるんじゃ‥‥」

「ーーーーッ!!!」



前髪を上げリーゼントに決めた髪形の先輩
そのきれいなオデコに手を当ててみれば



「あッ、熱いですよ!やっぱり熱あるんじゃないですか!」

「〜〜〜〜ッツ!!」

「うわッ!!」



突然、辻先輩が勢い良く立ち上がった



「辻、先輩?顔が真っ赤‥」

「ふ、藤代‥‥俺は、俺はッ!お前に、こ、ここ‥‥恋‥ッ、ツ
ぬぁああああぁあああッ!
お、俺を見るんじゃねぇエエエエッ!」

「え!?ぇえ?」



疾風の如く
その言葉通り物凄い脚力を見せ辻先輩はあっという間に屋上から消え去った

そして先輩に伸ばした手がむなしいく宙を掴む俺と

先輩に問い掛けたい疑問のみが、その場に取り残されたのだった


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あきゅろす。
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