犬と猿 4 「何とか言いやがれッ!退けろって、おい!」 しつこいぐらいに、マクラを顔に押し付けている腕を掴もうとするが なにぶん視界ゼロの俺 頑張って掴めるのは空気のみで、バタバタと暴れてはいるものの 相手は止める気配を見せない 「き、聞いてんのかテメッ、誰だか知らねーけどいい加減にしーー、え‥っ?」 な、何だこれッ!? 一瞬、何されたか解らなかった 濡れたモノが、俺の唇をなぞるように這う 上唇、下唇と形を確かめるみたいに何度も何度も‥‥ 「ちょっ、や、止めッ!」 この熱いのって‥ うッ! 嘘だろ! や、ヤダヤダヤダッ! 口許にかかる吐息で、今度はハッキリと理解した 「止めろテメェッ!殴ってやるこの変態っ、んんぅ…っ」 強がって発した言葉が途中で吸い取られ 深く密着した唇 そして、ぬるりと濡れた舌が侵入してくる [*前へ][次へ#] [戻る] |