[携帯モード] [URL送信]

犬と猿
3
「は?」

「今日、楽しかったか?」

「は、ぁああッ!?」



急に何だ?
つーか、楽しかった、だ!?
そんなの‥‥そんなのッ!



「‥‥さ、最悪に決まってんだろーが!
テメェに負けて、今こんな事されてんのに、何が楽しいだ!!」

「それだけか?」

「あったり前だろ!他に何あんだよ!
俺が投げる時、くしゃみするとか姑息な手使いやがって!
あッ、お前!途中で俺の球変えただろ!
クソッあれさえなきゃ、俺が絶対勝ってたのに!」



まったくガキだって正々堂々って言葉知ってるっつーのに、コイツはッ


「なぁ犬井?」

「っんだよ!」

「羽鳥は?」



思いもしない人物の名前が登場して
突然の事で一瞬、何の話しをしていたか、ぶっ飛んだ


羽と‥り?
羽鳥?は‥‥


「はぁあ!?羽鳥?
何でそこに羽鳥が出てくるんだよッ!
関係ねぇだろ!訳分かんねー事言ってしかもまたチューしやがってー‥へ?
えーー、と猿?」



(なになに‥‥何だよ?)


もう一度、猿倉の顔を覗き見る


そこにあったのは、いつも上から目線の憎ったらしい顔‥‥
じゃなくって

耳まで顔を赤くさせて
目もおっきく見開いた猿


こんな猿、初めて見る‥



「お前やっぱバカだ」



そう呟いた猿倉が、嬉しそうに
泣きそうにも見える顔をほころばせ



(バカにされたっつーのに何で俺‥)



心臓が暴れ出す


ギューーッと抱き着いて来た猿倉を押し返す事も忘れるぐらいに

見惚れていた


[*前へ][次へ#]

3/10ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!