[携帯モード] [URL送信]

犬と猿
3
「あっ、ワンちゃん」


外壁の裏から顔を覗かせていたのは白い犬
ピコピコとしっぽを振り、そしてもう一度元気よく吠えた



「ぃい犬井ィイイイッ!!」

「うわぁっ、だ、抱き着くな猿ゥウウッ!」



突然、ガタガタ震えて俺を力いっぱい抱きしめてくる猿



「猿っ、離せって!」

「だ、ダメなんだ、犬はッ
ガキ、ん時‥追い掛け‥られて、ひぃッ」



声も引き攣ってる猿って初めてかも
うわぁ、コイツ‥‥
なんか、なんかッ


(面白いッ!)





「く、ククッ、クハハハハッ!
猿、おまっお前大丈夫か、アハハッ!」

「う、うるせッ!」



あの後、犬のいる家から何とか猿を引き離して今、俺に応えるぐらいまでやっと落ち着きを見せた

その猿の顔が、バツの悪そうな顔して俺を睨む
でも、まだ腰抜けて立てない姿見てると



「お前、面白すぎーッ!」



笑いが止まんないッ!
カッコイイ顔してデカいガタイで犬がダメとかって!



「あハハハッ!あ腹痛いっ、てかお前さッ、俺めっちゃ笑ってんのに、ぶはっ怒んないな、くハハッ」

「ふんッ、‥‥怒る訳ねーだろ?」

「ハハハ、へ?」



そう言って立ち上がった猿倉が優しく微笑む



「笑顔見れたし」
「うえっ!?」

「触れたし、話せたからな」



月よりも眩しい笑顔が、不覚にも鼓動を速くする




「だから俺、帰るわ。
早く風呂入りたいし。
明日も学校だから‥じゃあな、チビ犬」

「ああ、じゃあ明日‥‥‥じゃッ!
じゃねェエエエエッ!
テメェ待て猿ッ!それはコッチのセリフだボケッ!」



スタスタと先に行く猿をドツく為、俺も駆け出した



(この自己チュー野郎ッ!)



夜道に俺達の走る足音が近所迷惑そのもの


[*前へ]

3/3ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!