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犬と猿
2
「犬井?」

「‥‥」

「おい犬?」

「‥‥‥‥‥」

「俺にしゃぶられて、イきまくったそこのバカいー‥」

「公道でなに叫んでんだテメェはァアアアッ!」



いくら夜とは言え、人も居るのに何て恐ろしい事をッ!

構わないと決めた俺だったけど、我慢も吹っ飛び少し後ろを歩く猿に掴み掛かっていた
そんな俺を嘲笑うかの様に



「羽鳥の事はふっ切れたか?」



傷をえぐるこの行為
ブッチンと血管切れて



「う、うるせーッテメェに関係ねぇッ!
つーかお前だって、羽鳥の事好きだったんじゃねーのかよッ!」



もう、公道関係ナッシング
俺も負けじと夜更けに大声を出していた



「なんで、簡単に割り切れるんだよ!
何年も前から羽鳥が好きだったんだ!
彼女が出来たからって、お前みたいに
はい、そうですか!って、すぐ簡単に変えられる訳ねぇー!」

「ったくッ、まだ分かんねーのか?」

「は?」

「ここまでして分からないとは、生粋のバカか?」

「なん、だとッ!あ、痛だっ!」



ギリっと力よく腕を捕られて、家を囲む外壁に体を押し付けられる


「は、なせッ!」



この体格さが憎らしいッ!
暴れても、微動だにしない猿に押さえられて



「ち、近ッ!」

「おい解ってるのか?俺もお前も男なんだぞ?
女相手ならスムーズに行く事も、そうは行かねぇのはお前自身でも解んだろ?
野郎相手にわざわざチョッカイ掛ける理由なんか‥‥
一つしかねーだろーがッ!」



鼻が付くぐらいに顔を近付けられる
でも、いつになく険しい目を俺に向けてくる猿が



「だから犬井‥‥」



月の光りに反射した猿の目が、真剣そのもので
そんな猿倉の



「俺が、俺が好きなのはなー‥」

『バフッ!』

「ーーッ!!!!」



俺の両肩を掴む手が、ビシッと固まったのが分かった


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あきゅろす。
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