犬と猿
1
「お疲れさんでしたーッ」
バイトが終わって外に出てみれば、月明かりに照らされた気持ちの良い闇夜が広がっている
暑くも寒くもなくって過ごしやすい上、雲もないから夜の割りには明るい
両腕を天に向かって上げ、くぅッと体を伸ばしていた俺は
「げッ!!」
嫌な奴を見てしまった
「よー。お前、こんな時間までバイト?」
「よーーッじゃねぇよッ!
テメェッな、なんでこんな所に居るんだ!?」
「部活が長引いた」
じゃねーよッ!
だったらさっさと帰れやッ!
何故か、何故ゆえにか猿倉がガードレールに腰掛けていた
「また俺に嫌がらー‥あ゙ッ
ほんじゃ、俺は疲れてんで猿またなッ!」
疲れてるのにコイツの相手なんかしてられるかッ!
突っ掛かれば、やり返して来るのは目に見えて明らか
ここは無視すれば‥と歩き出した俺は
「なんでついてくるんだよ!」
足音が追ってくるのにすぐ気が付いた
「あ?俺もこっちなんだよ」
「く、ーーッ!」
我慢!
我慢だ俺ッ!
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