犬と猿
6
「図星‥‥か」
息が詰まって、あんだけ暴れていた腕を止めたら丸分かりで
「‥‥んでッ」
やっと絞り出せた声も情けないぐらいに震えていた
「犬井?」
「なんでテメェに、テメェなんかに
ッんな事言われなきゃなんねーんだ!
ずっと、ずっと好きで何が悪ィんだよ!そりゃ男好きになるとか変かも知れねーけど‥‥関係ねぇぐらい、‥‥好きで‥」
羽鳥の事を知るたび嬉しくて
一つ知ればもっと、もっと‥と欲張りになって
「フられてもいねぇよ‥‥」
手も出せないくらい、今の関係を壊すのが恐かった
「まだ何にも始まってもねぇ‥‥
告る前に俺‥‥ッ、ツ」
心臓が締め付けられて
喉が塞がった様に言葉が出て来なくなる
そして、こんな奴の前で出したくもない涙がボロボロと溢れ出し
しまいには言葉は鳴咽に変わった
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